監査法人での非常勤勤務について
監査法人での非常勤勤務について
監査法人では繁忙期の人員不足解消のために非常勤勤務というシステムがあります。主に開業したばかりの会計士や子育て中の女性会計士が多いです。
私が監査法人に在籍したころから何名かいらっしゃいましたので、非常勤勤務のシステム自体は知っていました。
最近は大手監査法人でも人手不足なので、中小監査法人の人手不足はひどいです。一般的には会計士試験合格後、大手監査法人への就職を考えるので、中小監査法人には新人が入ってこないようです。そのため、最近の中小監査法人の非常勤会計士の割合は非常に高いです。
先日日経新聞にあずさ監査法人が今後1年間の新規クライアント受嘱を停止したとの記事がありました。そのため、新規上場を検討している企業にとっては監査法人を探すのが非常に難しい状況です。
大手監査法人に断られた企業は中小監査法人に監査契約を依頼するのが自然だと思います。その中小監査法人で非常勤会計士の割合が増えているということは粉飾を見逃してしまうリスクが高いのではないかなと個人的には感じます。言葉は悪いですが非常勤会計士はあくまでバイトですからね。。
ここまでは前置きです笑
非常勤会計士の時給
私が最近同僚の会計士から聞いて非常に驚いたことがあります。それは非常勤会計士の時給です。
なんと時給6,000円~8,000円らしいです!!!
インターネットで求人情報を検索したところ確かにその金額の求人がありました。残業はしなくていいので、7,000円×7時間で日当約50,000円です。
ただ、毎日働くわけではないので、もし年間100日働いたとしたら日本人男性の平均年収を超えてしまいます。
私もやりたくなりました笑
副業はさすがにまずいので出来ませんが。。
独立している会計士にとっては軌道に乗るまでの間のセーフティーネットとして素晴らしい制度ですよね。もちろん本業で成功するのが一番ですが、生活面での不安は最低限解消されます。
監査法人、税理士法人と一般企業のメリット・デメリット②
一般企業のデメリットについて
・自由度が低い
会計士が事業会社に入るのであれば基本的には経理部だと思います。監査法人や税理士法人では位さんとに行って作業するケースが多いので事務所にずっと言うことはほとんどありません。(事務所にずっといる人は干されているってことですし。。)
その半面、事業会社では基本的に一日中自席で過ごします。そのため、感謝応身の会計士のように昼休みを二時間とるようなことは絶対にできません。そのため、その生活に慣れるまでは大変なようです。
・プロパーが優遇される
これは企業によって異なると思いますが、大企業になればなるほどプロパーが優遇される傾向は強いと思います。もちろん上司にとっては中途で入ってきた社員よりも新入社員から頑張ってきた部下を重宝するのは当然だと思います。ですので、中途入社の場合にはプロパーに勝てるような専門性が必要です。
一般事業会社は監査法人と異なり社員同士の結びつきが強いので、そこにうまく溶け込むためには柔軟性が非常に重要であると思います。
・文化が全く違う
これも当然のことですが一般企業(特にバックオフィス)は自由な雰囲気はなくまじめな人が多いです。監査法人はやることをやっていれば基本的に自由ですし同僚も面白い人からまじめな人まで様々です。一般企業で働いている方は人間関係があまり面白くないと言っているケースが多いです。
また、企業それぞれにルールがあるので、そのルールを覚えるまでにある程度時間がかかるようです。もちろん、経理といえども企業のビジネスの理解は必要不可欠だと思います。いずれにしても監査法人から税理士法人に転職するよりも文化の違いが大きいので、それに慣れるまでは非常に苦労するようです。
監査法人、税理士法人と一般企業のメリット・デメリット①
一般企業のメリットについて
監査法人、税理士法人の同僚で一般企業に転職し、勤務している方が何名かいますのでその方々に聞いた情報ベースで書かせていただきます。一般企業でも一部上場企業からベンチャー企業まで様々ですが、ある程度の規模の一部上場企業を前提に記載します。
・給料が安定している
私が監査法人に在籍していた時期は人不足から人余りになっていきました。監査法人には労働組合がないので場当たり的に人事制度が変わります。その半面、ある程度の規模の事業会社であれば労働組合がるので人事制度がころころ変わることはあまりないと思います。(最近であれば東芝や神戸製鋼などではそんなことはないかもしれませんが。。)
そのため、一般事業会社のほうが監査法人、税理士法人よりもライフプランを立てやすいことは間違いないと思います。
・残業時間が少ない
残業時間については会社によってさまざまだと思いますが、私の同僚で一般事業会社に転職した方々は皆さんそう言います。経理であれば決算期はもちろん忙しいと思いますが、それ以外の時期は定時帰りも可能なようです。ワークライフバランスの点では非常にいいのではないでしょうか。
・退職金が出る
監査法人、税理士法人ではパートナーにならないと退職金が出ないケースが多いと思います、その半面、一般事業会社では普通に勤務していれば退職金を支給していただけますので、老後の生活が安定しやすいと思います。
・業務の範囲が広い
これについては会社ごとに違うと思います。TOPIX Core30に入るような超大企業だと業務範囲が細かく決まっており、中途であればジョブローテーションが難しいケースもあると思います。私の同僚が働いている会社であれば、決算の時期以外は他部署からの税務の相談の対応や海外子会社のサポートなど、幅広く業務を行っているようです。
監査法人と税理士法人で勤務して分かったメリット・デメリット④
税理士法人のデメリット
監査法人と比較した税理士法人のデメリットについて書きたいと思います。
・マネージャー以下の給料が安い
税理士法人は監査法人と比較してマネージャー以下の給料が安いです。特に、スタッフやシニアスタッフの基本給は監査法人よりかなり安いです。その分、残業時間が多いので残業代も含めると監査法人と同水準にはなります。
つまり、残業時間が多くて給料が安いので、費用対効果だけでみると監査法人のほうがいいと思います。
・業務量が多い
監査法人も最近は人手不足で業務量が多いと聞いていますので現在はそこまで大差はないかもしれませんが、業務量は非常に多いです。私はマネージャーなので残業代はつきませんが、毎月最低でも60時間程度は残業しています。スタッフの場合はさらに業務量が多いので毎月80時間程度は残業していると思います。
さらに言うと、移転価格コンサルティングの部門よりも一般税務を行っている部署はさらに忙しいです。確定申告の時期には150時間くらい残業することもあるようです。私は未経験ですが多分耐えられません。。
若いうちであればそれが経験、強みになると思いますので修業期間と考えるしかないですね、また、残業はフルチャージできるので、金銭的なメリットはありと思います。
上記くらいしかデメリットが見つかりません。強いて言うなら監査法人より優秀な職員が多いので、昇進するのが難しいといったところでしょうか。これはいい刺激を受けられるという意味ではメリットにもなりますが。
監査法人と税理士法人で勤務して分かったメリット・デメリット③
税理士法人のメリット
税理士法人で勤務して感じた監査法人と比較したメリットについて書きたいと思います。基本的には前記事の監査法人のデメリットの裏返しですが、詳細に記載いたします。
・キャリアを構築できる
大部分の会計士は会計士試験合格後、監査法人で勤務します。部署や職階によって業務内容は違いますので、実際には個々の能力差は相当程度あります。ただ、履歴書に記載する際には〇〇監査法人〇年勤務としか書かないですし、職務経歴書においても大まかには同じような内容になると思います。そこで、監査法人勤務経験に加えて税理士法人での勤務経験があれば大きなキャリアの強みとなります。
特にBig4系税理士法人は上場企業の経理部上長であればだれでも知っていますし、移転価格や国際税務の経験がある会計士が少ないこともわかると思います。ですので、もし税理士法人を退職し、転職する際に非常に有利に働くと思います。
監査法人勤務10年より監査法人勤務5年、税理士法人勤務5年の会計士のほうが魅力的に感じるのではないでしょうか。
・英語力が身につく
現在私が行っている移転価格コンサルティングでは英文メールでのやり取り、英文での移転価格文書の作成、英語での電話会議、出張の際の英語での会議への参加(日本でも外資系クライアントの場合には英語だけでの会議はあります。)などで英語を使用します。
監査法人勤務経験のある方ならわかると思いますが、国際部などでない限り英語を使用する機会はほとんどありません。そのため、ほかの会計士と比較してビジネス英語のスキルが格段にアップします。
私は個人的にはこれがBig4系税理士法人勤務の1番のメリットだと感じています。
・人間関係が良好
Big4系税理士法人は実際には外資系ではないですが、外資系企業のような社風です。外国人パートナーやスタッフがたくさんいるので、飲み会やイベントの頻度が多いです。その際にはもちろん英語で会話するので、英語力もつきますよ。
また、多様な文化が集まっている職場なので日本人会計士が大部分の監査法人よりも社員同士の仲がいいと思います。日常業務の合間の雑談も英語なので最初はカルチャーショックを感じると思いますがすぐになれます。
それ以外のメリットとしては、シニアマネージャー以上の給料は監査法人より高い、ビジネスカジュアルなのであまりスーツを着なくてもいいなどがあります。
監査法人と税理士法人で勤務して分かったメリット・デメリット②
監査法人のデメリット
次に、監査法人と税理士法人で勤務して感じた監査法人のデメリットについて書きます。
・人間関係が陰湿
私が所属していた部署だけかもしれませんが、人間関係が非常に陰湿でした。スタッフのミスをシニアスタッフがマネージャーにメールで送付する際に、BCCにパートナーのアドレスを入れてメールしたりするのは日常茶飯事でした。口頭でシニアスタッフがスタッフに注意すれば済む話なのにメールを使った悪口大会が多かった気がします。
また、例えばそのスタッフがクライアントの方に失礼なことをしたり、社会人としてあり得ないような行動をとったからとかなら分からなくもありませんが、往査現場に少し遅刻してきた(1時間とかではなく10分とかです)とか、社内研修の資料をシュレッダーをかけずにそのままゴミ箱に捨てた(その研修資料は会計基準に関するもので、クライアントの機密情報に関わる情報は一切含まれていません)とかいう内容です。
結局その後輩たちはやめてしまいましたが、幸せな社会人生活を送っていることを望んでいます。
・パートナーの流動性が低いため、パートナーへの昇進が困難
監査法人のパートナーは定年まで勤務される方が多く、税理士法人と違って平均年齢が高いと思います。監査法人のパートナーの平均年齢が高いのは、流動性が低い(逆に言うと監査法人のほうが雇用が安定しているといえます)からだと思います。税理士法人ではパートナーでも成果を出すことを求められるので、退任される方も多くいらっしゃいます。
ですので、監査法人は日系企業、税理士法人は外資系企業に近い社風だと思います。自分の能力に自信があって若いうちからパートナーになりたい方には監査法人は向いていないと思います。
・業務内容が退屈
監査業務は基本的にはクライアントが作成した財務諸表に問題がないかをチェックする仕事です。ですので、私にとっては生産性が低く退屈な仕事でした。クライアントが監査法人に求めているのは適正意見を出してもらうことです。
その半面、税理士法人ではクライアント担当者に満足していただける東名成果を出す必要があるので、ぷれーっシャーが高い反面チャレンジングな職場だと思います。
・年収が低い
マネージャー以下であれば税理士法人よりも監査法人のほうが年収が高いですが、それ以上になるとゼイリシホウジンのほうが格段に高いです。パートナーであれば税理士法人のほうが監査法人の3倍くらい高いと思います。
ですので、優秀な方にとってはぜいりしほうじんのほうが魅力的だと思います。
それ以外にも英語力がつかない、監査経験しかなければ将来のキャリア形成が困難などいろいろデメリットはあります。
監査法人と税理士法人で勤務して分かったメリット・デメリット①
監査法人のメリット
現在監査法人で勤務されている方には税理士法人勤務のイメージがつかない方が大半だと思います。会計が好きで監査法人でパートナーに上り詰めるぞ!!という強い意志がある方以外の参考になればいいと思い本記事を書きたいと思います。
まずは監査法人のほうが税理士法人よりもいいと思う点について記載します。
・会計監査は企業にとって義務であり、税務コンサルは悪く言えば外注業者のような存在である。
例えば、監査法人の新人スタッフが経験不足で失敗したとしてもクライアント担当者は勉強中だからしょうがないなと大目に見てくれることが多いと思います。もちろん何回も同じミスを繰り返せばクレームが来ますが、企業にとって会計監査が義務である以上ある程度親切に接していただけます。
その半面、税理士法人の提供しているサービスは基本的にはコンサルティング業務なので、企業がお客さんであるという面が非常に強くなります。また、サービスのクオリティーに対する要求水準も非常に高いです。ですので、クライアントでのプレゼンをスタッフに任せることはほとんどなく、パートナー、マネージャーが行うケースが多いと思います。
つまり、極端に言うと監査法人とクライアントはある程度台頭で、税理士法人はお客さんであるクライアントより立場が弱いという点において大きな違いがあります。
また、私が勤務しているBig4系税理士法人だと、クライアントも巨大なグローバル日系企業や、有名な外資系企業がほとんどです。つまり、担当者にも頭が切れる方が多く、その方を満足させられるようなサービスを提供しなければ長期間にわたる良好な関係を構築することは困難です。
この点が、監査法人の一番大きなメリットだと思います。
・上司、同僚のレベルが税理士法人と比較すると低い
監査法人で勤務しているのは大部分が会計士です。ですので、ある程度の地頭と会計に関する知識は持っています。監査をするうえでは(少なくともシニアスタッフまでは)、営業力も必要ありませんし、英語力も必要ありません。
税理士法人には監査法人よりも高学歴な方がたくさんいます。会計知識に関しては監査法人の会計士のほうが高いですが、地頭、英語力(外国人が沢山いますし、それ以外もバイリンガルばかりです)、プレゼン力などは明らかに税理士法人のほうが高いです。
その中での競争があるので、監査法人よりも税理士法人のほうが昇進は難しいと思います。
・長期休暇が取りやすい
監査法人のほうが年間のスケジュールが決まっているので、長期休暇が取りやすいと思います。最近は異常なレベルで人手不足なので、難しいと思いますが税理士法人よりはスケジュール調整が容易です。
税理士法人では複数のプロジェクトを同時に担当し、クライアントからの連絡にも即座に対応する必要があります。また、監査法人のような明確な繁忙期がないので長期休みは取りにくいです。(もちろん夏休みは1週間くらい取れますよ)
以上が監査法人のメリットです。