移転価格コンサルタントとして働く公認会計士の日常

公認会計士、税理士。現在Big4系税理士法人でマネージャーとして勤務。

インドにおけるBEPS対応(マスターファイル)

インドにおけるマスターファイル提出義務

 

 

2017年10月6日にインドの税務当局からマスターファイル提出に関する衝撃的なルールが公表されましたので記載しておきます。

日本では、連結グループ収入が1,000億円未満の企業グループについては提供義務が免除されています。そのため、連結グループ収入が1,000億円を下回っている企業グループについてはマスターファイルを準備していない企業がほとんどだと思います。

しかし、今回インドで公表されたルールでは連結グループ収入が50億INR(約85億円)を下回っている企業にのみ提出義務が免除されております。

つまり、この基準に従うと例えば日系の多国籍企業でインド子会社を有しており、連結グループ収入が500億円程度の企業であってもマスターファイルを作成し、インド税務当局に提出する必要があるということです。

ただし、この免除基準の金額は他国と比較してあまりにも低い水準であるため今後見直される可能性があります。

もしこのままの基準で改正がなされない場合、他国も同様の基準を設けてくる可能性があるため、ほとんどの日系多国籍企業はマスターファイルを作成する必要があることになります。

作成の手間や税理士法人に支払うフィーを考慮するとこれらの企業にとって大きな負担になりますのでインド税務当局が免除基準の見直しを行うことを期待しております。

一般企業への転職について②

一般企業での転職面接

 

今回、初めて一般企業での面接を受けましたので感じたことを書いておきます。

企業ごとに異なるとは思いますが、監査法人や税理士法人の面接とは全く違います。

監査法人や税理士法人での面接は、会計士や税理士の資格を持っていれば基本的に雑談のような面接が多いと思います。ですので、自己紹介と志望動機だけ準備しておけばそれ以外の準備は特に必要ないとすら思います。

一般企業の面接はこれとは全く違います。そのため、最低でも一週間前くらいからは想定問答集を作成し、実際に口に出して練習しておく必要があると思います。普段はあまり緊張しない方であっても志望度の高い企業の面接ではある程度緊張してしまうと思います。

 

想定問答

 

最低でも必要な想定問答集の項目は以下の通りです。

①自己紹介

自己紹介については大学卒業後のキャリアとそれぞれの企業での業務内容を中心に組み立てます。その中で自分の強みをアピールできると完璧だと思います。自己総会は面接の最初に必ずあるので十分に準備しておく必要があります。

②志望動機

志望動機は前職の退職理由と応募先の企業に入りたい理由について説明します。前職の退職理由については本当はネガティブな理由であったとしても出来る限りそれは抑えたほうがいいと思います。また、前職の企業では達成できないが、応募先の企業では達成できることを織り込むとよいかと思います。さらに、応募先の企業については開示資料だけでなく新卒採用採用サイト等隅々まで目を通しておくとよいと思います。

徹底的に調査することでその企業を自然に好きになり、志望動機の説得力が増す効果があると思います。

③自分の強み、弱み

強みについては業務に関連することであれば何でもよいと思います。重要なのは弱みです。弱みについては事前に考えておかないとその場でうまく説明できない可能性があるので事前準備は必須です。できる限り業務に悪影響を与えない弱みを考え、それに対する解決策について説明できるとよいと思います。

また、強み、弱みについては具体例を交えて話すと説得力が増します。

④マネジメント経験

30代になるとマネジメント経験についても必ず聞かれます。職務経歴書作成の際に自分のキャリアの棚卸を行うと思いますので、それと絡めて具体例を用いて説明する必要があります。

また、マネジメント経験と関係して部下と接するときに注意していることなども聞かれます。その際の自分のポリシーについても事前に考えておいて、それと絡めて説明できるといいかと思います。

⑤業務上での成功体験

業務上での成功体験もよく聞かれる質問だと思います。この成功体験については応募先の企業での業務でも活かせるような内容だと面接官へのアピールになります。

⑥逆質問

面接の最後に面接官から「何か質問はありますか?」ときかれます。その際に答えられるように最低でも5つ程度の質問を用意しておくといいと思います。その質問は面接官がYes,Noで答えられるようなものではなく、そこから話を広げられるようなものにする必要があります。

また、入社してからの業務をイメージできるような質問にすると面接官へのアピールになります。

 

総括

 

一般企業への転職の際に最も重要なのは

・企業研究

・業界研究

・想定問答作成

です。

一般企業への転職を考えている会計士の皆様のお役にたてると幸いです。

 

一般企業への転職について

一般企業での転職面接

 

実は先日ある一般企業の面接を受けてきました。

面接を受けた理由は、

①自分の市場価値を確かめるため

②年収アップのため

③一般企業のほうが安定しているのではと考えたため

です。

 

書類選考

今回の案件は、企業のHPから直接応募したのですが、応募資格は以下の通りでした。

・公認会計士

・TOEIC800点以上で英語でのコミュニケーションが可能

・監査実務又は経理経験者

これだけであれば英語力のある会計士であれば応募可能だと思います。

書類選考については履歴書、職務経歴書を企業HPにアップロードするだけなので非常に簡単です。

もし転職活動が初めてであれば履歴書はともかく職務経歴書の作成は非常に手間がかかります。自分のキャリアの棚卸だとポジティブに考え、じっくり作成することをお勧めします。転職エージェント経由の転職であれば、テンプレートをもらえるのでそれを使って作成可能です、

私は以前作成した履歴書、職務経歴書があったのでアップデートするだけでしたのですぐに終わりました。そしてアップデートしました。

選考結果は1週間程度で来ると予想していましたが、実際に来たのは2週間後でした。

 

1次面接

 

今回はエージェントを通さずに直接応募でしたので、人事の方と日程調整を行いました。調整の結果、夕方スタートとなってしまい、半休を取得して1次面接に行きました。

1次面接の面接官は経理部長、チームリーダー、人事担当者の3名でした、面接自体は和やかな雰囲気で、通過したかな?と感じました。

その際の質問内容は

・自己紹介(これまでの職務経歴を踏まえて)

・転職動機(志望動機)

・自分の強み

・これまでのキャリアの詳細

・マネジメント経験

・これまでに自分が主導した業務とその成果

・逆質問

等です。非常に一般的な内容でしたので問題なく答えられました。

面接に当たっては想定問答集を作成し、事前に練習しておくことは最低限必要だと思います。また、逆質問についても5つほどは用意する必要があります。

 

面接の結果

 

面接の感触が良かったので1次面接通過かと思っていたら翌日に「お祈りメール」が来ていました。。

通過できなかった要因はIFRSに関する実務経験がなかったことです。私は税理士法人での勤務が長く、IFRSは全く使用しないので、日本基準しか知りません。今回受けた企業はIFRSで開示資料を作成しているため、IFRSをこれから勉強する必要があることと年齢のバランスで落ちたようです。

公認会計士の方でグローバル大企業の経理を志望される方は英語力とIFRSに関する実務経験は必要不可欠ですね。

以上、私の転職失敗体験記でした。。

 

英語の学習について(TOEIC)

英語学習の動機

 

監査法人で勤務していた頃、会計士資格以外の強みを身につけようと試行錯誤していました。監査法人の上司や同僚のTOEICスコアの平均が500点程度だったので英語力を身につければ強みになると考えました。

今後日本経済の縮小に伴い、日系企業の海外展開が加速することは間違いないので、英語力があれば今後のキャリアの選択肢を増やすことができます。また、私は海外旅行が好きなので、現地の方とコミュニケーションを楽しめるようにすることも英語学習の大きなモチベーションでした。

ただ、監査法人勤務時代は業務で英語を使用することがほとんどなかったので、まずはわかりやすくTOEICスコアを伸ばすことを考えました。私の監査法人入所時のTOEICスコアは700点程度でしたが、大学受験以来英語の勉強をまともにしたことがなかったので基礎からやり直そうと考えました。

 

英語学習の方法

 

英語学習開始にあたって使用したテキストは

・DUO

・総合英語Forest

のみです。これだけで英単語と文法の基礎はおさえられます。

(最近書店で人気の「一億人の英文法」も非常にわかりやすかったのでお勧めです。)

この2冊を何度も反復学習しました。それだけでTOEICスコアが750点程度になりました。ただ、そこから伸び悩んでしまい何度受けても750点程度しか取れませんでした。

それを英語の得意な監査法人の同期に相談したところ裏ワザを教えてもらいました。

それは、

 

 

TOEICの公式問題集を解くことです笑

非常に有名かもしれませんが、この問題集を解けばTOEICスコアは誰でも100点くらい上がります!!

この問題集の一番の特徴はリスニングセクションの話者が本番の試験と同じということです。ですのでリスニングセクションの音声を何度も聞いていれば本番の試験ではいつも通りの話者が話している声で問題が解けるので非常に聞きやすいと思います。

また、リーディングセクションについても本番と同様の傾向の問題が出題されるので、4回程度反復すれば時間配分や試験傾向がつかめます。私はTOEICの公式問題集を繰り返すことでTOEICスコアを900点程度にまで伸ばすことができました。

TOEICはほとんどの人が時間が足りないので、本番での出題傾向、時間配分を体に叩き込んでおくだけでも非常に有効なトレーニングになります。

騙されたと思って皆さん試してください。個人差はあるかもしれませんがスコアアップは間違いありません。

私はTOEIC公式問題集を使用してスコアを上げたので、私の本当の意味でのTOEICスコアは750点程度だと思います。ただ、私は英語力のうちスピーキングとライティングが最重要スキルと考えていますので、それらを図るうえでTOEICスコアはあまり役に立ちません。

 

 

ふるさと納税について

ふるさと納税の実績

 

私は昨年からふるさと納税を始めました。住宅ローン控除や医療費控除も適用しているので昨年、今年とも10万円程度寄付しました。

昨年は返礼品として商品券をいただきました。還元率という点からは商品券が最も効率的だと思います。還元率60%ですからね。ただ、味気ない感じがしたのとせっかく地方に寄付している以上、地域の特産品を頂きたいと考え、今年は商品券をやめました。

商品券については転売の問題もあるので今後徐々に規制が強まっていくと思います。使いやすい商品券としてはJTB旅行券なんかもありますからね。

今年返礼品として頂いたのは牛肉、鶏肉、ハム、ウナギ、お米、桃です。全て満足でしたが特にウナギ、桃は大満足でした。ウナギは2万円の寄付で6尾もいただけたので家族全員で満喫できました。

夏に食べるウナギは最高です。ウナギの価格はどんどん値上がりしているのでなかなか手が出ず、妻も大喜びでした。

また、今週桃が送られてきたのですが1万円の寄付で12玉も入っていました。毎朝1玉食べていますがまだ6玉冷蔵庫に眠っています。桃は近所のスーパーで1玉500円以上するので贅沢な気分を味わえます。

ただ、残念なのは桃は賞味期限が非常に短いので少し黒くなっているものもあります。賞味期限を長くするいい方法はないものでしょうか。。

来年も商品券のような無機質なものではなく今年同様食材を中心とした返礼品を狙おうと思います。

 

ふるさと納税についての私見

 

豪華な返礼品の過熱化抑制のために今年から返礼品の価値を3割以下に抑えるべきという通達が総務省から出されました。確かにふるさと納税は地方や故郷への寄付が主な目的であり返礼品の受領が主な目的ではありません。

また、ふるさと納税はただ納税先を変えているだけで日本全体としてはゼロサムですが、返礼品を準備するための費用が掛かるので日本の財政にとってはマイナスになっているとは思います。

ただ、各自治体ごとに返礼品を創意工夫し、地域活性化に貢献していることは否定できないと思います。これまであまり注目されていなかった地域でもその地域でしか使えない商品券を発行することで賑わっているようです。

あまり個人的な意見を述べるのはよくないと思いますのでこれくらいで留めておきます。

ちなみに、私はふるさとチョイス、楽天のふるさと納税を利用しましたが、楽天のふるさと納税はキャンペーン時などに利用すれば10倍のポイントが付くので非常にお得だと思います。納税手続も普通の楽天市場の買い物と全く同じで親しみやすいですよ。

確定申告に抵抗のある方はワンストップ特例という制度もあります。これを適用すればわざわざ確定申告をする必要もないので、もし興味のある方は調べてみてください。

公認会計士試験の学習方法(経営学)

経営学の学習方法

 

次は経営学の学習方法について書きたいと思います。経営学については論文式試験直前までは日常的に計算問題の学習を行い、気分転換に試験委員の著書を読んでいました。短答式試験から論文式試験に挑まれる方にとっては経営学に時間を割くのは難しいと思います。

私は最終年度は論文式試験のみでしたので、試験委員の著書を読んで少しでも経営学を好きになるように心掛けていました。計算については反復練習をしていればある程度できるようになると思います。私は管理会計が好きでしたので経営学の計算問題も好きでした。

ちなみに、租税法は苦手科目でしたので参考にならない可能性が高いので記事は書きません笑

 

経営学は計算問題と理論問題に分かれていますのでそれぞれ分けて書きたいと思います。

 

計算問題

 

これは予備校のテキストと答練を活用して苦手な論点がなくなるまで徹底的に反復練習をするのが費用対効果からはベストだと思います。簿記や管理会計と比較すると範囲が非常に狭いので反復練習の負荷はそれほど高くないと思います。

また、理論問題と比較して安定して点数を稼ぎやすいのでまずは計算問題を得意になるのが経営学攻略の早道だと思います。

ただ、経営学の計算問題は管理会計の計算問題と同様に最初でつまずくと最後まで問題がつながっているケースが多いので、焦らず、丁寧に解くように心掛ける必要があります。特に最初のほうの問題でのミスが致命的になるので気を付けていました。

 

理論問題

 

理論問題については予備校テキストと答練だけで試験に挑む方が大多数だと思います。経営学は短答式試験の科目ではないのでそこまで時間をかけられないのが受験生の実情だと思います。

ただ、私はそれに加えて試験委員の著書を読むことを強くお勧めします。経営学はほかの科目と比較して試験委員の色が出やすく、テキストや答練だけの学習よりも解答に深みが出ると思います。また、試験委員の著書には載っているが、答練ではカバーできていない論点も出題されるのでそれだけで大きなアドバンテージを取ることができます。

その点からも理論問題については試験委員の著書をできるだけ購入し、読んでおくのをお勧めします。

個人的に経営学の学習は楽しかったので1年目から得意科目でした。

やはり好きな科目には自然と時間をかけて勉強しますし自信を持って解答することができます。

この点からも公認会計士試験合格に一番重要なのはすべての科目を好きになること(少なくとも苦手意識を持たないこと)、苦手科目を作らないことだと思います。

偉そうに書きましたが私は租税法が苦手でした。。。

 

公認会計士試験の学習方法(企業法)

企業法の学習

 

私が企業法の学習に当たって心がけていたことを書きます。他の理論科目と重複している項目もありますが、これがすべてです。

①六法を常に引く癖をつけて条文の場所を体で覚える。

②テキストや答練の回答例をすべて覚えるのではなく骨子で覚えて流れを理解する。(理論展開を理解する。)

③②の骨子を活かして自分の言葉で答案を書くように心掛ける。

④これは短答対策のみですが、テキストや六法、短答の答練を使用して80%程度の精度で暗記する。(論文では暗記は最低限にしてください)

⑤企業法を好きになる(何でもそうですが苦手意識があると得意にはなりません)

 

1年目の学習方法

 

私は会計士試験1年目は企業法が一番の苦手科目でした。それが最終的には1番か2番の得意科目になりました。ですので、自分で言うのも変ですが企業法のアドバイスが一番有用ではないかと思います。

1年目の学習に当たっては短答向けの暗記とテキスト、答練を丸暗記することに注力していました。今考えると馬鹿なことをしていたと思いますが、そもそも企業法をあまり好きになれなかったので暗記以外の学習方法を思いつきませんでした。予備校から暗記暗記と口を酸っぱくして言われていたので、条文も大してひかずに丸暗記していました。

暗記していれば解ける短答についてはコンスタントに8割くらい取れていました。ただ、論文では丸暗記なので論理展開のうえで重要な文章が抜けていたり散々でした。もちろん、論文式本試験でも歯が立たず空欄だらけの状態でした。

そこで、企業法が得意な先輩に相談し、思い切って暗記するのをやめることにしました。これは短答式試験をパスできたからというのもありますので、短答式試験通過のためには暗記が必要です。

 

2年間の学習方法

 

次に2年目の学習について書きます。

2年目は論文対策に特化していましたのでバインダーにルーズリーフを大量にはさんで、上に答練やテキストの問題を切って貼っていました。それぞれの問題について模範解答を参考に論理展開で重要な骨子をできる限り簡潔にフローチャートにして書いていました。また、その際に出てきた条文はその都度全て引いて蛍光ペンでマークして付箋を貼っていました。

最終的にはポケット六法が付箋だらけになっていましたので、付箋だらけの六法と手製のバインダーは私の企業法に対する自信の源になりました。

フローチャートを書くことのメリットは最低限のキーワードをピックアップしてつなげる必要があるので、じっくり考える必要があることです。じっくりどこが論理展開上重要であるかを考えることによって理解が促進されます。

それを様々な論点で行い、何度も反復チェックしましたので、半年後には自分の言葉で答練の解答を書くことができるようになりました。自分の言葉で書けるようになるとすらすらボールペンで書けるので気持ちいいですよ。頭からどんどんアイデアがわいてきます。答練暗記型だと頑張っても答練の模範解答の8割程度の精度にしかなりませんからね。

私が企業法を好きになったのは企業法の解答を作成するうえでの流れが理解できたこと、自分の言葉で答練を解答できるようになったことです。

あと、弥永真生先生の書かれたリーガルマインド会社法は理解の促進につながるのでお勧めです。この本も企業法を好きになるのに貢献してくれました。