インドネシア税制改正について
インドネシア税制改正
BEPS行動計画13を受けてインドネシアでは各国に先駆けて税制改正を行い、2016年12月30日に内容が公表されました。
税制改正の内容は、マスターファイルとローカルファイルを課税年度終了後4カ月以内にインドネシア語もしくは英語で作成しなければならないというものです。(作成日を記載した書類を作成、提出する必要はありますが、マスターファイルとローカルファイルの提出までは求められていません)
日系企業のインドネシア子会社の場合には2017年4月末までにマスターファイルとローカルファイルを作成する必要があります。
日本親会社でマスターファイルを作成している場合、インドネシアで要求されている情報を追加し、翻訳する必要があります。(一般的にはインドネシア語版を準備します)
もしマスターファイルを作成していない場合には税理士法人への相談をお勧めします。
また、ローカルファイルについては1から準備する必要があるので4ヶ月という短い起源で作成するのは相当な負荷が想定されます。
弊法人のインドネシア拠点にも日系企業やその他外資系企業からの依頼が相次ぎ、業務が回らなくなっているようです。
インドネシアの税制改正は公表から作成期日まで4ヶ月という異常な税制改正だと個人的には思います。
ただ、移転価格税制は国家間の税金の取り合いなのでインドネシアの例に倣って、今後は他国も同様の税制改正を行うことが想定されます。
突然の税制改正にあわてないように海外子会社の移転価格文書整備状況を日本親会社で管理し、税制改正の状況をキャッチアップしてくことが必要です。
企業サイドで税制改正の状況を逐一キャッチアップするのは難しいので弊法人ではクライアント様に情報提供させていただいております。
移転価格調査
補足ですがインドネシア税務当局では移転価格課税に非常に力を入れています。インドネシア税務当局は毎年税務執行に係る目標を定めており、2017年の目標は税収目標達成年度です。
2015年インドネシア税務当局の税収目標に対する税収の達成率は82%、2016年度は81.5%といずれも低水準にとどまっています。移転価格課税は大規模案件であれば多額の税収確保につながるため、特に大規模納税者に目を光らせています。
インドネシア当局はアグレッシブな税務調査で有名なので日系企業のインドネシア子会社については特に移転価格対応が必要となります。日系企業の中では、日常的に海外子会社とコミュニケーションが取れていないケースが多いので、円滑なコミュニケーションを図り、移転価格リスクを低減させる努力が必要です。